
Google は現代の MS か?独禁法で訴えられる日は来るのか?2009-12-04
最近、Google 日本語入力なるものが発表されて、にわかに注目を浴びています。
使用後のレビューなどを見る限り、Google が持つ圧倒的な情報量を武器に、Social IME の理想を実現したと思わせる秀逸な出来のようです。
例によって、Google は無料配布してますし、MS IME の馬鹿さ加減も手伝って、今後、普及が進んでいくのではないかと思います。
そのニュースの興奮もさめやらぬ中、Google Public DNS なるものが発表されました。
こういった流れをもって、いよいよ Google 帝国の世界支配が現実味を帯びてきた…という論調が、以前にも増して声高に聞こえるようになってきました。
(ちなみに、無料 DNS の煽り文句に踊らされている人もいますが、DNS サーバをホスティングするわけではなく、Google の超パワーで高速なキャッシングを提供する話っぽので、レンタルサーバ業者に与える影響は限定的だと思います。)
では、MS が独禁法で訴えられたのと同じように、Google が訴えられるかというと、それは違うのではないかと思います。
例えば、Chrome ブラウザや Google DNS を通さないと使えないサービスがあったり、Google のサービス同士じゃないと連携しない制限をかけたり、といった事を Google がやっていないからです。
MS に例えて言うなれば、Google は最初から、IE や Media Player を他のアプリに置換可能な状態でリリースしていると言えます。
しかも有料 OS に無料ソフトを添付したりではなく、最初から全てが無料なので、独禁法に定められた、不当な/不公正な「取引」 に当たるのかさえ、微妙に感じます。
もし Google を日本の法律の枠組みで訴えるとしたら、それは独禁法ではなく、不正競争防止法では無いでしょうか?
ただ難しいのは、例えば ATOK を擁するジャストシステムが不当に安価な製品を提供して市場を破壊した、と Google を訴えたとしても、Google IME 自体に直接広告がなければ、「これは商用製品ではありません。当社の社会奉仕活動です。当社に利益をもたらすものではありません。」と言えてしまうところです。
これは、直接的に広告を表示させていない全ての無料サービスについて、同様の理屈が成り立ちます。
もちろん、Google に全く利益をもたらさないかというとそれは違います。
ユーザ体験の向上によってブランディングの効果があったり、検索量が増える事で、結果的に広告収入が増えるという事は十分考えられます。
Google DNS や Chrome ブラウザ等、Google がスピードにこだわるのも、当然表向きはユーザ体験の向上が目的、と言いますが、実態はそれだけではありません。
ユーザが高速な Web を体験できるようになることは、実は Google の収益に直結しています。
しかし、こういった因果関係を法廷で証明するのは難しいのではないでしょうか?
仮に、因果関係が認められ、Google 敗訴となった場合だって、「Google IME の権利を放棄します。サジェストの API を公開して、IME はオープンソースに寄贈します。」と言ってしまえば、それっきりになってしまいます。
「最初に作った名誉」という形のブランディング効果は残り、Google 自体は訴訟から完全に解放されつつも、ユーザが増え続ければ、Google は自身の目的を達する事が出来ます。
これは怖いです。こうなったらどうやっても止められません。
実はすでに、Android がこの状態です。そう遠くない将来、Symbian OS や Palm OS、Windows Mobile などは駆逐されていってしまうのではないでしょうか?
この傾向が進んだ未来はどんな世界でしょうか?
影から世界を牛耳る Google 帝国が完成するのか、あるいは世界共和国とでも呼ぶべき、民主的な世界になるのか、全ては Google の社訓 "Don't be evil" がどれほど守られるかにかかってる気がしてなりません。
そして、それを担保するのは、Google サービスを利用する我々にかかっていると思うのです。
Google のサービスはほとんどが無料ですし、便利で有用なものが多いですが、Google のサービスを利用する時は「その情報は全て Google が握っているのだ」という事実と、「evil に堕ちた時はいつでも糾弾するのだ」という監視の目を忘れずにいたいですね。
あるいは、もう、すでに…。
使用後のレビューなどを見る限り、Google が持つ圧倒的な情報量を武器に、Social IME の理想を実現したと思わせる秀逸な出来のようです。
例によって、Google は無料配布してますし、MS IME の馬鹿さ加減も手伝って、今後、普及が進んでいくのではないかと思います。
そのニュースの興奮もさめやらぬ中、Google Public DNS なるものが発表されました。
こういった流れをもって、いよいよ Google 帝国の世界支配が現実味を帯びてきた…という論調が、以前にも増して声高に聞こえるようになってきました。
(ちなみに、無料 DNS の煽り文句に踊らされている人もいますが、DNS サーバをホスティングするわけではなく、Google の超パワーで高速なキャッシングを提供する話っぽので、レンタルサーバ業者に与える影響は限定的だと思います。)
では、MS が独禁法で訴えられたのと同じように、Google が訴えられるかというと、それは違うのではないかと思います。
例えば、Chrome ブラウザや Google DNS を通さないと使えないサービスがあったり、Google のサービス同士じゃないと連携しない制限をかけたり、といった事を Google がやっていないからです。
MS に例えて言うなれば、Google は最初から、IE や Media Player を他のアプリに置換可能な状態でリリースしていると言えます。
しかも有料 OS に無料ソフトを添付したりではなく、最初から全てが無料なので、独禁法に定められた、不当な/不公正な「取引」 に当たるのかさえ、微妙に感じます。
もし Google を日本の法律の枠組みで訴えるとしたら、それは独禁法ではなく、不正競争防止法では無いでしょうか?
ただ難しいのは、例えば ATOK を擁するジャストシステムが不当に安価な製品を提供して市場を破壊した、と Google を訴えたとしても、Google IME 自体に直接広告がなければ、「これは商用製品ではありません。当社の社会奉仕活動です。当社に利益をもたらすものではありません。」と言えてしまうところです。
これは、直接的に広告を表示させていない全ての無料サービスについて、同様の理屈が成り立ちます。
もちろん、Google に全く利益をもたらさないかというとそれは違います。
ユーザ体験の向上によってブランディングの効果があったり、検索量が増える事で、結果的に広告収入が増えるという事は十分考えられます。
Google DNS や Chrome ブラウザ等、Google がスピードにこだわるのも、当然表向きはユーザ体験の向上が目的、と言いますが、実態はそれだけではありません。
ユーザが高速な Web を体験できるようになることは、実は Google の収益に直結しています。
Google:0.5秒遅くなると、検索数が20%減少する
Amazon:0.1秒遅くなると、売り上げが1%減少する
Aberdeen Groupというリサーチ会社が出したレポートによると、一般的に表示スピードが1秒遅くなると、PVは11%、CVは7%、顧客満足度は16%ダウンする
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High Performance Web Design ~デザインから考えるハイパフォーマンスWebサイト~ | warikiru
しかし、こういった因果関係を法廷で証明するのは難しいのではないでしょうか?
仮に、因果関係が認められ、Google 敗訴となった場合だって、「Google IME の権利を放棄します。サジェストの API を公開して、IME はオープンソースに寄贈します。」と言ってしまえば、それっきりになってしまいます。
「最初に作った名誉」という形のブランディング効果は残り、Google 自体は訴訟から完全に解放されつつも、ユーザが増え続ければ、Google は自身の目的を達する事が出来ます。
これは怖いです。こうなったらどうやっても止められません。
実はすでに、Android がこの状態です。そう遠くない将来、Symbian OS や Palm OS、Windows Mobile などは駆逐されていってしまうのではないでしょうか?
この傾向が進んだ未来はどんな世界でしょうか?
影から世界を牛耳る Google 帝国が完成するのか、あるいは世界共和国とでも呼ぶべき、民主的な世界になるのか、全ては Google の社訓 "Don't be evil" がどれほど守られるかにかかってる気がしてなりません。
そして、それを担保するのは、Google サービスを利用する我々にかかっていると思うのです。
Google のサービスはほとんどが無料ですし、便利で有用なものが多いですが、Google のサービスを利用する時は「その情報は全て Google が握っているのだ」という事実と、「evil に堕ちた時はいつでも糾弾するのだ」という監視の目を忘れずにいたいですね。
あるいは、もう、すでに…。
カテゴリ: Technology Business タグ: google